【企画力とは何か?】企画を進めるうえで必要な2つの「コン」

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前回、「企画力とはなにか?」というテーマで1本記事を作成しました。
今回はそれを発展させ、個別のテーマに関してもう少し突っ込んで考えていきます。

今回のテーマは「コンセプト」と「コンセンサス」の大切さについてです。

主に「これから企画を始める人」や「社会人1・2年目」あたりを対象にした内容です。

 

参考図書

今回の記事を書くにあたって参考にした書籍は以下の通りです。

思いが伝わる! 心を動かす!アイデアを「カタチ」にする技術

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作者: 長澤宏樹
出版社/メーカー: 総合法令出版
発売日: 2015/09/18
メディア: Kindle版
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ゲームデザイナーの仕事 プロが教えるゲーム制作の技術

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作者: 前田圭士,桝田省治
出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
発売日: 2008/01/26
メディア: 単行本
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コンセプト?コンセンサス?

具体的な話に入る前に、まずはテーマとなる「コンセプト」と「コンセンサス」の意味について理解しておきましょう。

コンセプト

創造された作品や商品の全体につらぬかれた、骨格となる発想や観点。

出典:コトバンク

「企画」という領域では、企画の骨子であり、アイデアの中心とでも言えるでしょうか。これがなければその企画が何なのかは漠然としていますし、その存在意義が明確になりません。

 

コンセンサス

意見の一致。全員の同意。反対意見がないこと。

出典:時事用語 Weblio辞書

企画を進めるにあたっては、企画発注者、企画担当者、作業担当者などの関係者の意識を統一することを意味します。これを統一することで、全員が同じ方向に向かって作業を進めることができ、後々「話が違う」や「話を勘違いしていた」という事態になって作業が巻き戻るのを防ぐことができます。

 

なぜコンセプトとコンセンサスが重要か?

さて、「コンセプト」と「コンセンサス」の単語の意味を踏まえたうえで、なぜそれらが企画を進めるうえで必要なのかについて考えていきます。まず「コンセンサス」から考えたほうが分かりやすいので、そちらを切り口にしていきます。

 

コンセンサスの大切さ

なぜコンセンサスが大事か。単刀直入に言えば簡単なことで、それは「企画が集団作業だから」に他なりません。

1人ですべての作業が完結するものであれば、そもそもコンセンサスは必要ありません。コンセンサスが必要なのは、そこに複数人の人間が絡んでくるからであり、複数人がかかわるプロジェクトを円滑に進める必要があるゆえに、コンセンサスをとる必要があると個人的には理解しています。

コンセンサスがしっかりと取れていないと、作業がある程度進んだ段階で「そんな話は聞いていない」だとか、「思っていたものと違う」だとか、「内容を勘違いしていた」といった事態が発生し、作業が巻き戻ってしまったり、最悪の場合1から企画を練り直すといった恐ろしい事態に陥りかねません。

巻き戻りが発生した場合、作業担当者のモチベーションに大きく響きますし、何より会社としても損失を生むことになります。それゆえ、段階段階でしっかりコンセンサスを取りながら作業を進めていくことが重要となるのです。

 

コンセンサスをとる難しさ

ですが、プロジェクトが2人、3人と少人数ならまだしも、それが10人、20人と大所帯になったならば、全員の意識を完全に一致させるのは極めて困難になっていきます。

担当セクションによって「守りたいもの」や「重要視しているもの」は異なりますし、そこに個人の価値観や趣向が絡んでくるため、それを調整して「全員がある程度納得するもの」に仕上げていくためには並大抵でない努力が必要です。

それゆえ、企画の初期段階で「達成すべき課題や目標」や「各人が守りたい必須要件」を洗い出し、ぶれない土台を作ることが必要になってきます。これが後で説明する「コンセプト」に他なりません。企画が始まった段階でいきなり作業に着手せず、まずは各関係者を集めて、全体の了解や同意を得る必要があるのです。

その際、いきなり全関係者を集めるのではなく、まずはコア・メンバーや各セクションの責任者だけを集めて一番の中核を固め、徐々にメンバーを増やして全体のコンセンサスを取る――といったように、作業の進め方にも気を付けることでよりスムーズに作業を進めていくことができます。

 

一番怖いもの――コンセンサスを取った「つもり」

コンセンサスを取っていく段取りについては、担当する案件の規模や難度にもよりますが、ある程度経験を積めば自ずとスムーズに行えるようになっていきます。

ですが、経験を積んだ人でも陥りがちな、おそらく一番厄介だと思われる問題が実は潜んでいます。それが「コンセンサスを取った気になっている」状態です。

これが生まれる原因は簡単で、コンセンサスを取っていく段階で人間の「理解」や「解釈」のズレ が介入するため――つまり、表面上は全員の意見が一致しているように見えても、ふたを開けてみるとそれぞれ思っていることが全然違った……という状況が起こりうるためです。

例えば、会議で「共闘型コンテンツ」という方向性で全員の賛成が得られたとしても、参加者の間で「共闘」のイメージが違っているということは往々にして起こりえます。これくらいならまだわかりやすい方ですが、より突っ込んだ内容まで企画概要を詰めていく際や、特に「これまでになかったもの」を企画するときには「ズレやすさ」が桁違いに上昇していきます。

そのため、会議などでコンセンサスを取ったあとには、本当にコンセンサスが取れているかを確認する作業を欠かさず行うことが大切です。言うは易しですが、このズレは「思い込み」のように気づいていないレベルで発生していることが多いため、慎重に進めていく必要があります。会議で決まった内容を改めて資料にまとめて、本当に相違ないか確認を取る機会なんかを設けるのも有効かと思います。

あくまで個人的な感覚ですが、「会議で決まったこと」というのは想像しているよりもずっと少ないものかなと思います。それくらい、人間の「思い」というものは簡単にずれていくものではないでしょうか。

 

コンセプト――企画の土台であり幹

ここまでの話を読んでいただいた方なら容易に想像はできるかもしれませんが、なぜコンセプトを設定するのかという問いに対する答えは、それが「コンセンサスを取りやすくするから」です。

もちろん、コンセプトを定める意味は「ユーザーへの訴求」など他にも様々です。ですが、企画を進行する際、コンセプトは「判断を行う際の頼もしい指針」であるとともに、「関係者を説得する際の強力な武器」となります。それは言い換えるならば、関係者たちの考えから大きくずれにくい選択を取れるツールであるとともに、関係者を同じ方向に進めるランドマークです。

アイディアを取捨選択して企画内容を詰めていく際、「○○というコンセプトに基づいて取捨選択を行った結果、A案が最も妥当だと考えます」と言えればその意見は非常に通りやすくなりますよね。

もちろん、その際に重要なのが「話の理論が通っていること」のほかに、「そのコンセプトが参加者のコンセンサスの上に成り立っている」や「解決したい課題に対する解決策となっている」、もしくは「最終責任者のオーダーを十分に満たしている」とった条件を満たしている必要があります。なにやら話が「コンセンサスを取る」に逆戻りするような気もしますが、ここからも、いかに「企画が集団作業か」というのがわかるかと思います。 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は「企画を進めるうえで必要な2つの『コン』」と題し、「コンセプト」と「コンセンサス」の大切さについて思うところを述べてみました。これらについては、言うのは非常に簡単ですが、実際に作業を進めてみると、その難しさに筆者も日々頭を悩まされます。

この点がそつなくできるというのは、「企画力が高い」と評される1つのバロメーターとなることは間違いないですね。