ネットゲームデザイン理論 3. -ストーリー進捗-

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ネットゲーム(といいつつも実際はスマホゲームが中心)のデザイン理論に関する覚書その3。今回はファーストステップの次に来るフェーズ、ストーリー進捗について書き綴っていく。

ストーリー進捗とは

ここでストーリー進捗としているのは、ゲームのストーリーモード、シナリオモードといった消費型・進行型のコンテンツのことを指す。そこに明確な物語性があるかは問わない。ゲームの進捗感や「次にどういう展開が来るのか」といった期待感を持たせるために何かしらの物語性を設けているものが多いため、ここでは便宜上「ストーリー進捗」という呼び方をする。

ストーリー進捗を考えるうえで重要なポイントは、上で述べた「消費型・進行型」といった特徴だ。消費型というのは、1度ないしは数回そのコンテンツをクリアすればそのコンテンツを再び遊ぶ意味合いがないものを指す。進行型というのは、Aというステージ(マップ、ないしはレベル)をクリアすることでBというステージが開放され、それをクリアすることでCというステージが……という形で順々に遊ぶコンテンツが開放されている特徴のことを指す。

消費型・進行型のコンテンツはユーザーに細かく明確な目標とチャレンジを提供することができ、MMORPGでもスマホゲームでも、ゲーム序盤から中盤にかけてプレイ継続を促すためのコンテンツとして鉄板となっている。

ストーリー進捗が円滑に進んでいるかをチェックする

ストーリー進捗が円滑に進んでいるかどうかをチェックするためには、前回の記事でも記した「ファネル分析」が有効だ。消費型・進行型という特徴を踏まえ、各ステージの「挑戦」「クリア」を観測ポイントとしてその「関所」を突破した/離脱したユーザーがどれくらいいるのか、突破するための門が狭すぎないかどうか、あまりに簡単に/早く突破されてしまっていないかを観測する。

一番基礎的な観測方法は、各ステージの「挑戦UU数」と「クリアUU数」を一覧表形式で並べるやり方だ。前のステージのクリアUUから次のステージの挑戦UUに大きなギャップが生じていれば、前のステージのクリアが「到達して満足し切ってしまうポイント」になっているとも考えられる。逆に、ステージの挑戦UUとクリアUUの間にギャップが生まれている場合、おそらくそのステージは難易度が高すぎてクリアできないユーザーが多く生まれていると言えるだろう。

上記の挑戦UU数とクリアUU数という2つの数値に加えて、さらに状況を深堀りしていくなら「平均挑戦回数」という数字も観測していきたい。これによって、クリア率は高いものの挑戦回数が多いステージ、クリア率は低いけれども挑戦回数も少ないステージといった観点からステージごとの課題や改善点を把握することができる。その他、ゲームを始めてからそのステージをクリアするまでの平均経過日数なんかも、コンテンツ寿命を見るうえで有効な指標だ。

ストーリー進捗の問題点を解消する

ストーリー進捗でボトルネックとなっている箇所がある場合、解決法として「難易度調整」がまず浮かぶが、この方法はできる限り最終手段としたい。なぜならば難易度の下方修正はコンテンツの消費速度を早めるほか、既にクリアしてしまっているユーザーにとっては決して喜ばしいものではないからだ。

それよりも、PRやゲーム中のヘルプ機能を通じた「攻略法」をユーザーに伝えて自力での攻略を促したり、そこで詰まっている層向けにキャラやユーザーの成長を促すようなコンテンツを通じて攻略をしやすくする仕組みを作るといった方法で解決を図った方がスマートだ。重要な思想は難易度を上げ下げするということではなく、ボトルネックを生んでいるギャップを埋めるための「補助階段」を用意してあげることだ。