比べて理解!ARPUとARPPUの意味と求め方

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ARPUとARPPUはいずれも1人あたりの課金額を示す指標だが、前者は分母を全ユーザーとするのに対し、後者は課金ユーザーに絞るという違いがある。

ゲームに限らずデータ分析で頻繁に用いられるARPUという指標とARPPUという指標。名前もよく似ているこの両者の違いは何でしょうか。ゲーム業界で長年データ分析に関わってきた専門家が分かりやすく解説をします。

ARPUの意味と求め方

ARPUとは「ユーザー1人あたりの平均課金額」のことで、英語の Average Revenue Per User の略称です。その値は、以下の計算式で求めることができます。

ARPU = 売上 / アクティブユーザー数

例えば日次のARPU (ARPDAU) を出したい場合はある日の売上をその日のアクティブユーザー数 (DAU) で割ることで求めることができます。月次のARPU (ARPMAU) を出したい場合は月次の売上を各月のアクティブユーザー数 (MAU) で割ることで求めることができます。

上の計算式からも明らかなように、ARPUは「課金ユーザー」と「非課金ユーザー」の両方を含めた1人あたりの平均課金額を意味します。そのため、例えばフリーミアムのサービスにおいて「お金を払ってもらっているか否か」「いくらお金を払ってもらっているか」の双方をひっくるめてサービス全体のマネタイズがどれだけ機能しているかを測る指標となります。

そのため、ARPUはサービスのマネタイズ面でのパフォーマンスを測るにあたってまず最初に見るべき指標であると言えるでしょう。

 

ARPPUの意味と求め方 

翻って、ARPPUとは「課金ユーザー1人あたりの平均課金額」のことで、英語の Average Revenue Per Paid User の略称です。その値は、以下の計算式で求めることができます。

ARPPU = 売上 / 課金ユーザー数

例えば日次のARPPU (ARPPDAU) を出したい場合はある日の売上をその日の課金ユーザー数 (PUU) で割ることで求めることができます。週次や月次に関しても同様の計算で求めることができます。

ARPPUは分母を課金ユーザーに絞っているため、お金を払ってくれている人が平均でどれだけの額を支払ってくれているかを見るための指標となります。例えばより高額の商品を買う人が増えたり、ゲームで言うとガチャをより多く回す人が増えるとARPPUは上がることになります。

そのため、ARPPUはロイヤリティの高いユーザーが「いくらならば支払うか」の指標になります。これは逆から考えるとそのサービスにお金を払っている人々が満足にそのサービスを使うのにどれだけのお金が必要かを示す必要でもあったりします。例えば、ゲームでガチャの確率が低いとARPPUは自然と高くなる傾向にあります。ただし、ARPPUが高ければ必ずしもいいという訳ではありません。

 

ARPUとARPPUの使い分け

 上で述べたように、ガチャの確率が低いとARPPUは高くなる傾向にあります。ただし、ガチャの確率が低いとそもそもそんなサービスに課金しようとする人は減ってしまうでしょう。そうすると課金をするユーザーの数が減ってしまうため、場合によってはARPUが下がってしまう可能性があります。

そのため、ARPUとARPPUを双方合わせてみることでサービス内のさまざまな商品に設定された「価格」に対するリアクションを見ることができます。例えば、割引パックでも限定スキンでも何でもよいですが、その価格を変えることによってARPUとARPPUがどう変化するかを見るなどです。

これはすなわち、ARPUとARPPUが課金率という別の指標を挟むことによって以下の関係にあることを意味します。

ARPU = ARPPU x 課金率

 

ARPU/ARPPUの発展形

 ARPUの発展形として、累積ARPU (Cumulative ARPU) という指標が存在します。これはユーザーごとにある期間で積みあがっていくARPUの合計を見たもので、ある一定期間における顧客生涯価値 (LTV) の指標として用いることができます。

例えば、ユーザー1人を広告で獲得するのに何円必要で、その投資を回収できるのに何日かかるか、ないしは何日間でその投資をどれくらい回収できるのかを計算する際に、この累積ARPUは重要な指標になります。

特にWebサービスやモバイルアプリなどではこの指標は重要になります。なぜならある期間を取ったときにこの累積ARPUが大きければ大きいほど、より広告を通じたユーザー獲得に投資をしてサービスを伸ばすことができるからです。一方、この累積ARPUが低いと広告を打っても投資を回収できないため広告を打つことすらできず、広告を打たないので結果としてサービスの成長が進まないといった負のスパイラルに陥ることがあります。

累積していく値であるため、この値は「期間」が大きくなるごとに増えていくものとなります。最終的に、計算する際の「期間」を可能な限り大きくとることで、それは「顧客生涯価値 (LTV)」とほぼ同義になります。

  

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