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遊覧飛行ーワインとゲームー

都内某所で働くゲームクリエイターのブログ。ゲームやビジネスに関する話題、シリアスゲームの紹介、作成したゲームの公開、ワインに関する記事など徒然なるままに書き記していきます。

ネットゲームデザイン理論 3. -ストーリー進捗-

ゲーム ゲーム制作 データ分析

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ネットゲーム(といいつつも実際はスマホゲームが中心)のデザイン理論に関する覚書その3。今回はファーストステップの次に来るフェーズ、ストーリー進捗について書き綴っていく。

 

ストーリー進捗とは

ここでストーリー進捗としているのは、ゲームのストーリーモード、シナリオモードといった消費型・進行型のコンテンツのことを指す。そこに明確な物語性があるかは問わない。ゲームの進捗感や「次にどういう展開が来るのか」といった期待感を持たせるために何かしらの物語性を設けているものが多いため、ここでは便宜上「ストーリー進捗」という呼び方をする。

ストーリー進捗を考えるうえで重要なポイントは、上で述べた「消費型・進行型」といった特徴だ。消費型というのは、1度ないしは数回そのコンテンツをクリアすればそのコンテンツを再び遊ぶ意味合いがないものを指す。進行型というのは、Aというステージ(マップ、ないしはレベル)をクリアすることでBというステージが開放され、それをクリアすることでCというステージが……という形で順々に遊ぶコンテンツが開放されている特徴のことを指す。

消費型・進行型のコンテンツはユーザーに細かく明確な目標とチャレンジを提供することができ、MMORPGでもスマホゲームでも、ゲーム序盤から中盤にかけてプレイ継続を促すためのコンテンツとして鉄板となっている。

 

ストーリー進捗が円滑に進んでいるかをチェックする

ストーリー進捗が円滑に進んでいるかどうかをチェックするためには、前回の記事でも記した「ファネル分析」が有効だ。消費型・進行型という特徴を踏まえ、各ステージの「挑戦」「クリア」を観測ポイントとしてその「関所」を突破した/離脱したユーザーがどれくらいいるのか、突破するための門が狭すぎないかどうか、あまりに簡単に/早く突破されてしまっていないかを観測する。

一番基礎的な観測方法は、各ステージの「挑戦UU数」と「クリアUU数」を一覧表形式で並べるやり方だ。前のステージのクリアUUから次のステージの挑戦UUに大きなギャップが生じていれば、前のステージのクリアが「到達して満足し切ってしまうポイント」になっているとも考えられる。逆に、ステージの挑戦UUとクリアUUの間にギャップが生まれている場合、おそらくそのステージは難易度が高すぎてクリアできないユーザーが多く生まれていると言えるだろう。

上記の挑戦UU数とクリアUU数という2つの数値に加えて、さらに状況を深堀りしていくなら「平均挑戦回数」という数字も観測していきたい。これによって、クリア率は高いものの挑戦回数が多いステージ、クリア率は低いけれども挑戦回数も少ないステージといった観点からステージごとの課題や改善点を把握することができる。その他、ゲームを始めてからそのステージをクリアするまでの平均経過日数なんかも、コンテンツ寿命を見るうえで有効な指標だ。

 

ストーリー進捗の問題点を解消する

ストーリー進捗でボトルネックとなっている箇所がある場合、解決法として「難易度調整」がまず浮かぶが、この方法はできる限り最終手段としたい。なぜならば難易度の下方修正はコンテンツの消費速度を早めるほか、既にクリアしてしまっているユーザーにとっては決して喜ばしいものではないからだ。

それよりも、PRやゲーム中のヘルプ機能を通じた「攻略法」をユーザーに伝えて自力での攻略を促したり、そこで詰まっている層向けにキャラやユーザーの成長を促すようなコンテンツを通じて攻略をしやすくする仕組みを作るといった方法で解決を図った方がスマートだ。重要な思想は難易度を上げ下げするということではなく、ボトルネックを生んでいるギャップを埋めるための「補助階段」を用意してあげることだ。

ネットゲームデザイン理論 2. -ファーストステップ-

ゲーム ゲーム制作 データ分析

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ネットゲーム(といいつつも実際はスマホゲームが中心)のデザイン理論に関する覚書その2。前回と同様、今回もゲームのファーストステップに関する覚書を書き綴っていく。

前回記事のリンクは以下の通り。

yuranhiko.hatenablog.com

 

ファーストステップ突破状況の観測

ファーストステップの突破状況を把握するためには、ファーストステップを複数の「観測点」に区切ってそこにログを仕込み、そこに到達したユーザーの数を計測する。それをインストールユーザーである NUU で割れば各ポイントの「突破率」を出すことができる。意味あるポイントを「観測点」として設定することで、ユーザーがどういうポイントで離脱し、どういう改善を施していけばいいのかのアタリを付けることができる。

「観測点」はゲーム起動直後や会話イベントの区切り、ローディングが入る箇所、アセットダウンロードが入る箇所、ニックネームの選択、ファーストステップの終了などといったポイントに設定する。特にアセットダウンロードが入る箇所なんかではダウンロードの「開始時」と「終了時」に設けることでダウンロード中の離脱を把握することができる。

 

ファーストステップ突破の構造的把握

ファーストステップの突破状況を分析するために、基本的にはファーストステップの突破状況を「ファネル分析」と「コホート分析」の両方の側面から観測する。

ファネル分析は「ファネル = 漏斗」という意味のが示す通り、母集団のユーザー群が観測点として設定されたポイントA, B, C. . . を突破する率を集計することで、ユーザーがファーストステップのどのあたりで抜けやすいのかを把握し改善に生かすための分析。

コホート分析は上記のファネル分析で出したようなユーザーの動きを時系列で追う(ここではすなわち、ユーザーをインストール時期で分け、各時期で突破率の状況に変化がないかどうかを見る)分析手法である。アップデートや施策によってゲームの構造やプレイ状況に変化が生じたときに効果があったかどうかを見るのに用いる。

上記をグラフで簡単に見る際には、横軸にインストール時期、縦軸に突破率を取り、各観測点の突破率を折れ線グラフにして観測するのが良い。ゲームの内外で大きな構造変化が生じない場合、上記のグラフはきれいなミルフィーユ状のものになるはずである。分析観点としては、このミルフィーユに変化が生じた際、その原因が何かを特定し、次のうち手に繋げていくというアクションが重要。

 

ミルフィーユに変化が生じるとき

上記のミルフィーユに変化が生じる主な原因は以下の通り。

  • 通常時とは質の異なるユーザーの流入(質が良い/悪い)
  • アップデート等によるファーストステップの改善/改悪の結果
  • ダウンロードするアセット数の増加によるローディング時間の増加
  • 不具合によるゲーム進行不能

 大規模集客施策などで一定非ターゲットユーザーが数多く流入した場合、突破率が一時的に悪くなりやすいが、集客施策の効果がなくなった時点で突破率はもとの水準に戻るのでさほど気にする必要はない。アセットの増加や不具合による進行不能はそもそもネガティブな体験として改善すべきポイントであり、早急な対応が必要である。だが、これらは一定目に見えた結果であり、対策も明確であることから、分析作業としてはメインの課題とはならないだろう。

それよりも分析の際に重要なのは、アップデートによってゲームの構造に変化が生じ、それによって突破率が構造的に変化した場合である。ファーストステップに関しては意図的にシューティングを行わないと変化が生じることはほぼなく、打った施策に対して効果があったかどうかを把握するのは比較的容易。打った施策によって狙ったポイントの突破率が向上したかどうか。それによってそれ以降のポイントの突破率も押しなべて向上しているかどうかを分析すればよい。

 

 

 

ネットゲームデザイン理論 1. -ファーストステップ-

ゲーム ゲーム制作 データ分析

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ネットゲーム(といいつつも実際はスマホゲームが中心)のデザイン理論に関する覚書その1。
今回はチュートリアル、その中でもゲームのファーストステップでの離脱を抑えるためのデザインについて書いていく。

 

ファーストステップとは

ファーストステップに関する明確な定義はない、というよりむしろゲームによって異なるというのが実情。基本的にはファーストステップ = チュートリアルと考えて問題ないが、そもそもどこまでをチュートリアルとみなすかはゲームによって異なる。

個人的には初回ゲームを起動し、オープニングムービーや会話イベント、バトルのチュートリアル、ニックネーム入力などを経て、最初にホーム画面に到着するくらいまでをファーストステップとして捉えている。

 

ファーストステップで重要なポイント

ファーストステップで特に重要になるのは「離脱の防止」。
ゲームをインストールしたユーザーがその面白さを経験する前に離脱するのは大きな機会損失であり、ファーストステップにおける離脱を極力抑えることがゲーム全体の継続率を高める上でまず考慮しなければならないポイント。

個人的な感覚値としては、リセマラやインセンティブ目的のユーザーを除外したNUUを母集団とした際、ファーストステップの突破率が85%程度あればそこそこ良くて、90%あれば十分高い水準かと思う。もちろん、この値はリセマラの定義や NUU/RUU の定義によって変化するため、あくまで参考値的なものでしかないが。

 

ファーストステップでの離脱を抑える手法

当たり前のことだが、ファーストステップでの離脱を抑えるにあたって「いかにゲームを初めてすぐにユーザーの気持ちをつかむか」が重要。魅力に欠けるムービー、退屈なイベント展開、陳腐なUIなどはすべてユーザーにネガティブな印象を与え、ゲームを継続しようというモチベーションを阻害させる。

逆に、迫力のあるムービー、ドラマチックでテンポのよい展開、いかしたUIなどはファーストステップでユーザーの気持ちをつかむのに非常に効果的。この点に関してはコンソール/オンライン問わずゲーム業界で蓄積されたノウハウのほかに、小説、映画、ドラマなどゲーム以外の分野で蓄積された知見が大いに役に立つ。非常にクリエイティブな領域。

他に比較的クリエイティブというよりはサービス志向的なものとして、いかに「ストレスフリーな体験」を提供できるかというのも離脱を抑える大きなポイント。タッチ操作の感度やロード時間の長さ、不要な思考ポイントの削除などのほかに、アセットダウンロードのストレスをいかに軽減するかが重要。

アカウント登録

ユーザーIDやパスワードの登録・認証といったいわゆるアカウント登録的な操作はゲーム開始前にユーザーにある程度の操作を要求するものであり、それが億劫でもともとプレイ意欲の高くないユーザーや、登録がうまくいかずゲームを開始できなかったユーザーが一定離脱するポイントである。

会社のポリシーや規約等で導入が必須の場合はやむを得ないが、可能であればファーストステップでアカウント登録操作を入れるのは避けたい。機種変更などでどうしても必要な場合は、チュートリアル終了後にミッションなどと絡めて登録を促したりした方が良い。

ニックネーム入力

わりとどのゲームにも存在しているが故に意識されにくいのが、ユーザーのニックネーム入力。基本的にテキストボックスを選択し、各ユーザーが各々の名前を入力して決定するスタイルが多い。

アカウント登録ほどではないものの、ここでも多少はユーザーに操作を強要する形になるため、プレイ意欲の低いユーザーを中心に離脱が起きやすい。特に、ユーザー間でのニックネームの重複を許可しないシステムの場合、なかなか名前を決定することができずより離脱に繋がりやすい。

離脱をなるべく減らすためには、ユーザー間のニックネーム重複を許容するシステムにしたうえで、さらにデフォルトで設定されている名称があると効果的。

アセットダウンロード

 ファーストステップの大きな離脱原因となっているのが、このアセットダウンロード。ダウンロード中は基本的に操作はできず「待ち」の時間となるため、その時間がかかればかかるほど離脱率は大きくなっていく。特にスマホゲームでは「ゲームを始めた時間や環境」「電場状況」「キャリアのデータ利用制限」といった様々な要因が絡み、ある程度大きな容量のダウンロードが入ることでゲームから完全離脱することも起きうる。

電場状況やキャリアのデータ利用制限などはゲーム運営側からはコントロールできない「外部要因」に属するため、これに関しては一定離脱が生じるものとして割り切るしかない。とはいえ、ダウンロード容量を減らしたり、ダウンロードを複数回に分割するなどして離脱を極力抑えることができ、そこに対しては注力するべきである。

ファーストステップでのダウンロードは最小限にする、オプションのダウンロードはゲーム内の設定から各自行えるようにする、アセットダウンロード中にミニゲームを挟む、アセットダウンロード中に初回ガチャを何度でも引き直しできる……といった要素が考えられる。

ステップの区切り

チュートリアルが終了してホーム画面に戻った際や、ストーリーの区切り(例:章の終わり)はユーザーの離脱ポイントとなりやすい。前者は特に「次に何をすればいいのかわからない」ライトユーザーの離脱を生みやすく、開発時には特に丁寧なコンテンツ誘導を行う必要がある。

後者に関しては一時的にゲームを閉じた後、アプリを再開するユーザーも多分に含まれるため完全離脱とは言えない。ただ、一時的な「休止」が完全離脱に繋がらないよう、ユーザーの目標感を醸成したりpush通知で反復ログインを促すなど、ゲームを再開するフックを用意しておく必要がある。

スマホゲームの基本KPI -4. RR変化率-

ゲーム ゲーム制作 分析

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スマホゲームの KPI に関する解説、第4回です。

初めにお断りしておくと、今回扱う内容はこれまと比べて少し高度なものになります。

前回は RR について解説を行いましたが、今回はその RR をより詳細に観察した指標である RR 変化率というものを見ていきます。

主な読者層としては、将来スマホゲームの業界で働きたいと思っている学生や、入社したてでこれから現場に入っていく新入社員の方などです。

 

基本 KPI 1. -RR変化率-

まずは RR 自体のおさらいです。RR とはある期間にアクセスしたユーザーが〇日後に再びアクセスした率を表すものでした。

必ずしも同一のユーザーの継続プレイを表しているものではないですが、 一般にマクロで観察したときのユーザーのプレイ継続率を表す指標として用いられているものでしたね。

では、今回見ていく RR 変化率とはどのような指標なのでしょうか。RR 変化率とは、RR の 1日ごとの変化を追っていったもので、〇-day RR とその翌日の RR の間にどれくらいの差があるのかを表しています。

例えば、1-day RR が 50%、2-day RR が 40% だった場合、1-day と 2-day の RR 変化率は 80% となります (40% ÷ 50% = 80%)。

RR が同一ユーザーの継続率を表しているわけではないため、この 80%という値も、1-day でログインしたユーザーの 80% が 2日目に再ログインしたことを必ずしも表しているわけではありません (1日目にはログインしなかったが、2日目にログインしたユーザーが 2-day RR にはカウントされているため)。

ですが、RR 同様、RR 変化率もマクロで見た際にはユーザーの継続率とほぼ同義に捉えられるため、現場ではよくユーザーの継続プレイや離脱を観察する際の指標としてよく用いられています。

 

RR 変化率の活用法 1. - 離脱ポイントの把握 -

上記のような性質を持っている RR 変化率ですが、現場での主な使われ方は 2つです。

1つ目は、ユーザーの継続プレイを把握するものとして。例えば何日目の RR 変化率が低いのかが分かれば、そのあたりにゲームの離脱要因があると考えることができますし、他タイトルと RR の変化率の推移を比較することによって、ゲームの初期 RR 向上が課題なのか、中長期の RR 改善が課題なのかなど、具体的にフォーカスする対象を絞っていくことができます。

また、曜日ごとの RR の変化率を追うことで、何曜日に継続の谷 (= 継続率が落ちているポイント) が来ているのかを把握することができます。例えば休祝日に人が来なくなるのか、休み明けの月曜日に人が来なくなるのかなどを把握することで、その課題を解決する具体的な施策へと落とし込んでいくことができますね。

 

RR 変化率の活用法 2.  - 継続プレイの定義付け -

RR 変化率のもう 1つの活用法として、何日までゲームを継続すればそのユーザーを「継続ユーザー」として見なしうるかを把握する指標というとらえ方があります。

一般的に、インストールから日がたつにつれて、徐々に継続率の高いユーザーのみが残っていくことになり、それに伴って RR 変化率は徐々に 100% 前後の漸近線に向かって収束していきます。

ゲームによって、どの程度まで日数がたてばおおむね収束したと判断できるラインに達するかが異なるため、タイトルごとにこの RR 変化率の収束度合いを見て、継続ユーザーの定義を インストール 7 日後とか 10日後とかに設定していきます。

これによって定義された「継続ユーザー」という指標は、新規 / 継続 / 離脱 / 復帰 といったセグメント分けに用いたり、とあるコンテンツのユーザー規模をとらえる際に、継続ユーザーに限定して集計を行いたい場合などに活用することができます。いずれもゲームの現状をとらえるうえでは非常に重要なセグメント区分なので、そのセグメント分解規準の根拠を提供するものとしても、RR 変化率は用いられているのです。

 

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スマホゲームの基本KPI -1. DAU, PUU, ARPU, ARPPU, 課金率-

スマホゲームの基本KPI -2. インストール数, NUU-

スマホゲームの基本KPI -3. RR-

スマホゲームの基本KPI -4. RR変化率-

スマホゲームの基本KPI -3. RR-

ゲーム 分析 データ分析

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スマホゲームの KPI に関する解説、第3回です。

今回は、前回・前々回で解説を行った DAU や NUU とも関連が深く、ゲームの運営上も非常に重要な KPI 、継続率を表す RR について見ていきます。

主な読者層としては、将来スマホゲームの業界で働きたいと思っている学生や、入社したてでこれから現場に入っていく新入社員の方などです。

 

基本 KPI 1. -RR-

RR (アールアール: Return Rate) とは、継続プレイが重要な指標となるスマホゲームに特有の KPI で、ある期間にアクセスしたユーザーが〇日後に再びアクセスした率を表します。

例えば、2016年10月23日にアクセスしたユーザーが 1,000人いたとして、その人たちのうち翌日の10月24日にアクセスしたユーザーが 500人だった場合、RR は 50% (500 ÷ 1,000 = 50%) となります。

一般的な用いられ方としては、ある日 (例えば 2016年10月23日) にインストールした人 (= NUU) を対象にして、その人たちのうち 1日後に再アクセスした率を 1-d RR (ワンデイアールアール: 1 day RR)、2日後に再アクセスした率を 2-d RR、3日後は 3-d RR……という感じで追っていき、どれくらいの人がゲームを継続プレイしてくれているのかであったり、どのタイミングでユーザーが離脱しやすいのかなどを見ていきます。

 

RR の注意点

上記の通り、RR はゲームのプレイ継続率を示すものとしてよく用いられている指標ですが、必ずしも各ユーザーの継続プレイを表している訳ではありません。

たとえば、ある日の NUU が 1,000 だったとして、その人たちのうち翌日にアクセスした人が 500 人であれば 1-d RR 50%、翌々日にアクセスした人が 300 人であれば 2-d RR 30% となります。この時、2-d RR にカウントされるユーザーはあくまで「インストール翌々日にアクセスした人」であって、インストールの翌日から継続して遊んでいる人も、翌日はアクセスしなかったが 1日あけて翌々日にアクセスした人も等しく 1としてカウントされてます。

なので、RR はユーザーの継続率を示す指標であるといえども、必ずしも個人の継続プレイをダイレクトに表しているものではないことを頭に入れたうえで見ていく必要があるのです。

 

NUU, RR, DAU

最後に、前回まででお話しした NUU と DAU、それらと RR の関係を見ていきます。

ゲームの運営にあたって、利用者数を表す DAU を増やしていくことが重要であることは前々回で述べた通りですが、この DAU を増やすにあたっては、いかに多くの NUU を獲得できるか、ならびにいかに RR を高めて獲得したユーザーに続けてもらえるかが大事になります。

この双方の KPI が十分でないと、そもそもユーザーを獲得できない、もしくは獲得した先からどんどん離脱を招いているという形になり、DAU はなかなか積みあがっていきません。

RR を高めるためには、そもそもユーザーがどのポイントで、どういった理由で離脱しているのかを特定し、それを1つ1つ良くしていくという地道な完全が求められます。ユーザーの離脱原因を特定するのは非常に難しいですが、RR は健全な長期運営に必須の要素ですし、これを向上させる UX の追及は非常に深いトピックですので、ぜひとも開発・運営に携わっている方はより良い UX の追及と RR の向上を目指していってください。

 

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スマホゲームの基本KPI -1. DAU, PUU, ARPU, ARPPU, 課金率-

スマホゲームの基本KPI -2. インストール数, NUU-

スマホゲームの基本KPI -3. RR-

スマホゲームの基本KPI -4. RR変化率-

スマホゲームの基本KPI -2. インストール数, NUU-

ゲーム制作 分析 データ分析

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スマホゲームの KPI に関する解説、第2回です。

今回はゲームを遊んでくれる「人」に注目した KPI、インストール数と NUU について解説していきます。

前回と同様、主な読者層としては、将来スマホゲームの業界で働きたいと思っている学生や、入社したてでこれから現場に入っていく新入社員の方などです。

 

基本 KPI 1. -インストール数-

大半のスマホゲームは App Store や Google Play Store などのプラットフォームにて公開されており、そこで日々人々によってインストールされています。

このインストールされた回数を示す指標が、その名の通りインストール数です。誰がインストールしたかを問わず、1回のインストールを1インストールとしてカウントしています。また、インストール数はあくまでインストールされた回数を純粋にカウントするため、同じ人が2回、3回…と複数回インストールした場合は、2回、3回と複数回カウントすることになります。

それゆえに、インスト―ル数は必ずしも新しく入ってきた人の人数を表すわけではなく、通常はその人数よりも大きな値となります。

 

基本 KPI 2. -NUU-

インストール数とは別に、やはりその日に入ってきてくれたユーザーが純粋に何人いたかを把握したいですし、する必要があります。それを示す指標が NUU (エヌユーユー: New Unique Users) です。

NUU はインストール数をもとにした値ですが、同じ人に2回、3回とインストールされた場合でも、新規流入顧客数を示す NUU は 1とカウントします。スマホゲームではチュートリアル後のガチャでいいものを狙ういわゆるリセマラが良く行わるため、新規流入顧客を把握するうえではインストール数よりもこの NUU がよく用いられます。*1

1日の利用者数を表す DAU を増やすためには、いかにしてより多くの NUU を獲得するかがキモとなります。NUU を増やすために、CMやネット広告などの広告を出す、ゲームの記事を出稿してもらう、口コミによる拡大を狙うといったマーケティング施策が主に用いられています。NUU はそのマーケティング施策がどれだけうまくいったかを表す指標としても用いられ、次の施策に生かされているのです。

また、蛇足ですが、NUUとインストール数を組み合わせることでリセマラ率という数字を出すこともできます。式としては NUU ÷ インストール数と単純なもので、インストール全体のうち何%がリセマラによるものなのかを示します。開いているガチャのキャラが強力なものだったりする場合、このリセマラ率は通常跳ね上がります。 

 

おわりに

今回は基本 KPI の中でも「人」の流入と関連の深いインストール数と NUU について見ていきました。プロダクトの拡大を図るにあたって、顧客数を増やすことは非常に重要なため、これらの KPI は DAU や ARPU などと同様に現場では日々欠かさず確認されている数字です。

また、ゲーム中の「人」に着目した重要な指標として、もう 1つ RR (リターンレート: Return Rate) というものがあります。本来ならばこの回で合わせて紹介するべきものですが、RR はゲーム特有の指標でかつ理解が少し難しいもののため、回を分けて解説することにします。 

 

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スマホゲームの基本KPI -3. RR-

スマホゲームの基本KPI -4. RR変化率-

*1:ちなみに、会社によって違うかもしれませんが、同一の人による複数回のインストールを NUU = 1 としてカウントする方法として、同一人物による最終インストールにフラグを立てて区別し、それのみを NUU としてカウントするという方法が取られています。同一人物を判別する方法としては、iOS の IDFA や Android の AAID といったものが用いられています。

スマホゲームの基本KPI -1. DAU, PUU, ARPU, ARPPU, 課金率-

ゲーム データ分析 分析

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このシリーズでは、スマホゲームのKPI (Key Performance Indicator: 重要業績評価指標) の基本に関して解説していきます。

主な読者層としては、将来スマホゲームの業界で働きたいと思っている学生や、入社したてでこれから現場に入っていく新入社員の方などです。

スマホゲームのKPIに関しては、すでに多くの記事もあるのでご存じの方も多数いらっしゃると思いますが、参考までにご覧ください。*1

スマホゲームのKGI -売上-

KPIの話に入る前に、似たようで別の指標である KGI (Key Goal Indicator: 重要目標達成指標) について軽く触れたいと思います。

KGI とはその名の通り「目標 = Goal」の達成を図る指標で、一番基本的なものとしては「売上」や「利益」があげられます。非営利として開発・運営するならまだしも、商品としてゲームを制作・運営するにあたっては「売上」は無視できない指標なため、売上がプロダクトの最終的な目標として設定されることが大半です。

そして、KPI は KGI を達成するためにその構成要素を分解し、最終目標がどれくらい達成できているか・できそうかを評価するために用いられます。

 

基本 KPI 1. -DAU, ARPU-

では、その「売上」はどのような KPI に分解可能なのでしょうか。

売上を分解する方法はいくつかありますが、最も基本的なものは売上を 顧客数 x 顧客単価 に分解する方法です。スマホゲームでは日次の KPI を追うことが多いため、顧客数は 1日の利用者数、顧客単価は 1日の利用者数の1人あたり売上を指します。前者を業界用語で DAU (ディーエーユー、ダウ: Daily Active Users)、後者を ARPU (エーアールピーユー、アープ: Average Revenue Per User) と呼びます。

日次売上 = DAU (1日の利用者数) x ARPU (1人あたり売上)

 ざっくり述べると、スマホゲームの運営にあたっては、この 2 つの KPI を最大化していくことで 売上の向上を図っていきます。

 

基本 KPI 2. -PUU, ARPPU- 

売上を分解するもう 1つの方法として、売上を課金者数 x 課金者1人あたりの顧客単価に分解するやり方があります。日次ではそれぞれ PUU (ピーユーユー: Paid User)、ARPPU (エーアールピーピーユー: Average Revenue Per Paid User) と呼びます。

日次売上 = PUU (課金者数) x ARPPU (課金者1人あたりの売上)

つまり、お金を払ってくれたユーザーの数と、その方々の平均課金額をかけた合わせることで、売上を出すことが可能というわけです。ダウンロード無料のゲームでは遊んでくれているユーザーを課金者/非課金者と分けられるため、こういった捉え方もあるわけなんです。

 

基本 KPI 3. -課金率-

これまで、DAU, ARPU, PUU, ARPPU と 4つの KPI を見てきました。最後に、これらと関係の深い「課金率」という KPI についてみていきたいと思います。

課金率とは、日次で考えるならば、1日の利用者数のうち何人の方に課金してもらえたかを表す指標です。

課金率 = PUU ÷ DAU

あくまで課金してくれた人数の割合を見るだけなので、課金者の課金額については何も語ってはいません。ですが、例えば 2つの日の課金状況について比較する際、実数値である PUU はそもそもの分母である DAU の大小の影響を受けてしまうため、その影響を除いた課金率で比較することも多く、ゲーム運営の現場ではよく使われる指標です。

 

おわりに

今回は最も基本的な KPI である 5つの KPI について見てきました。ゲーム運営の現場では日々これらの数字を追って現状を把握するとともに、これらの数値を基準に行った施策の振り返りをやっています。

もちろん、現場で使われている KPI はもっとたくさんありますが、ただ何でもかんでも数字を見ればいいのではなく、その数字が KGI にどうつながるのを意識し、その数字がどう変化すればどういうことが言えるのかを意識しつつ、運営を行っていくことが重要です。

 

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スマホゲームの基本KPI -1. DAU, PUU, ARPU, ARPPU, 課金率-

スマホゲームの基本KPI -2. インストール数, NUU-

スマホゲームの基本KPI -3. RR

スマホゲームの基本KPI -4. RR変化率-

*1:本シリーズではダウンロード無料、アイテム課金制のゲームを対象にして話を進めていきます。