海外で用いられているゲーム分析手法、GEQ (Game Experience Questionnaire) について調べてみた

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Games User Research の本の中で調査手法の1つとして紹介されていた GEQ (Game Experience Questionnaire)。今回はその GEQ とはなんぞや?について調べてみたという記事になります。

GEQ とは?

GEQ (Game Experience Questionnaire) ――直訳すれば「ゲーム体験調査票」――は2008年にオランダのアイントホーフェン大学の IJsselsteijn 氏が開発した調査票で、ゲームプレイ後のユーザー体験を測定するためのものです。英語ですが、非常にシンプルで分かりやすいサマリはGame experience questionnaire (GEQ) « All About UXに記載があります。

この調査用は以下の3つのパートから構成されており、ゲームプレイ後のユーザー体験を測ったり、それを繰り返し測ることで体験の変化を計測しようとするものです。いずれのパートも、ゲームプレイのセッションが終わった直後に回答してもらうことを想定しています。

  • コアモジュール (Core Module)
  • ソーシャルプレゼンスモジュール (Social Presence Module)
  • ポストゲームモジュール (Post-Game Module)

これだけだと何のことやらさっぱりですが、ちゃんと本記事の下の方でもう少し詳しい説明をいれるのでご安心を...。

GEQ の長所と短所

GEQ の長所

様々な観点からゲーム体験について捉えることができる。
ラボ、実地調査のいずれでも適用しやすい。

GEQ の短所

いくつかの質問は、プレイ時間が短い場合回答者にとって答えにくいものになっている。

GEQ の各モジュールの説明

コアモジュール

GEQ の中核をなす部分で、ゲーム体験を7つの要素からなるスコアによって評価します。また、7つの各要素は指標としての頑強性を担保するために、それぞれ5つの質問項目をもとにスコアリングされています。それらの7つの要素とは以下の通りです。

  • 没入感 (Immersion)
  • フロー体験 (Flow)
  • 有能感 (Competence)
  • ポジティブ感情 (Positive Affect)
  • ネガティブ感情 (Negative Affect)
  • 緊張感 (Tension)
  • チャレンジ感 (Challenge)

ソーシャルプレゼンスモジュール

他人とゲームをプレイした時の心理面や行動面での関与を調査します。他人というのはNPCの時もあれば、オンライン上での他のプレイヤーであったり、実際に同じ場所で一緒にプレイするプレイヤーであったりします。
当然ですが、この調査は上記いずれかの共同プレイヤーがいる場合でないと実行できません。
ソーシャルプレゼンスモジュールは3つの要素からなるスコアによって評価されます。それら3つの要素とは以下の通りです。

  • 共感
  • ネガティブ感情
  • 行動面での関わり合い

ポストゲームモジュール

ゲームプレイ後にプレイヤーがどう感じたかを評価します。プレイヤーの自由意思でゲームの開始 / 終了を選択できるため、より自然なゲームプレイを評価することができると言えます。
ポストゲームモジュールは4つの要素からなるスコアによって評価されます。それら4つの要素とは以下の通りです。

  • ポジティブ感情
  • ネガティブ感情
  • 疲労感
  • 現実に戻ってきたような感覚

GEQ の調査票

ここからが本題、GEQ の調査票の中身を見ていくことにします。注意点としては、私自身は翻訳の専門家ではないので、英語から日本語に訳す過程でたどたどしかったり、十分に意味をくみ取れていないものが合ったりするかもしれません。そこはご容赦いただけるとありがたいです。

コアモジュール

以下の各質問に対して、あなたがゲームをプレイしているときにどう感じたかを教えてください。

  1. 全く感じなかった
  2. 少し感じた
  3. まあまあ感じた
  4. とても感じた
  5. ものすごく感じた

各質問は以下の通りです。

  1. 満足したと感じた
  2. 自分は上手だと感じた
  3. ゲームのストーリーに興味を持った
  4. ゲームは楽しかった
  5. プレイに大忙しだった
  6. 幸せに感じた
  7. 気分が悪くなった
  8. 他のことを考えていた
  9. 面倒だと感じた
  10. うまくやれると感じた
  11. 大変だと感じた
  12. 見た目が美しいと感じた
  13. 身の回りのことを忘れてしまった
  14. いい気分になった
  15. 自分は得意だと感じた
  16. 退屈に感じた
  17. うまくいったと感じた
  18. 空想の世界に入ったように感じた
  19. 物事を探求できると感じた
  20. 楽しかった
  21. ゲームの目標をすぐに達成した
  22. 腹立たしく感じた
  23. ストレスを感じた
  24. じれったいと感じた
  25. 時を忘れた
  26. やりごたえがあると感じた
  27. 強く印象に残った
  28. ゲームに深く集中した
  29. イライラした
  30. リッチな体験だと感じた
  31. 外の世界と切り離されたように感じた
  32. 時間の制約を感じた
  33. 多大な努力を払わないといけなかった

コアモジュールは7つの要素によって構成されます。7つの要素はそれぞれ、以下の項目の平均値をスコアとします。

  • 有能感:2, 10, 15, 17, 21
  • 没入感:3, 12, 18, 19, 27, 30
  • フロー体験:5, 13, 25, 28, 31
  • 緊張感:22, 24, 29
  • チャレンジ感:11, 23, 26, 32, 33
  • ネガティブ感情:7, 8, 9, 16
  • ポジティブ感情:1, 4, 6, 14, 20

ソーシャルプレゼンスモジュール

以下の各質問に対して、あなたがゲームをプレイしているときにどう感じたかを教えてください。

  1. 全く感じなかった
  2. 少し感じた
  3. まあまあ感じた
  4. とても感じた
  5. ものすごく感じた

各質問は以下の通りです。

  1. 他のプレイヤーに共感した
  2. 自分の行動は他のプレイヤーの行動に左右された
  3. 他のプレイヤーの行動は自分の行動に左右された
  4. 自分は他のプレイヤーと繋がっていた
  5. 他のプレイヤーは自分に深く注意を払ってくれていた
  6. 私は他のプレイヤーに深く注意を払っていた
  7. 私は他のプレイヤーをねたましく思った
  8. 私は他のプレイヤーと一緒にいて楽しいと思った
  9. 私が幸せな時は他のプレイヤーも幸せだった
  10. 他のプレイヤーが幸せな時は私も幸せだった
  11. 私は他のプレイヤーの気分に悪影響を与えた
  12. 私は他のプレイヤーの気分に悪影響を受けた
  13. 私は他のプレイヤーに感心した
  14. 他のプレイヤーのしたことは私に影響を与えた
  15. 私がしたことは他のプレイヤーに影響を与えた
  16. 私は仕返ししてやりたいと思った
  17. 私は他のプレイヤーに対して「ざまあみろ」と思った

ソーシャルプレゼンスモジュールは3つの要素によって構成されます。3つの要素はそれぞれ、以下の項目の平均値をスコアとします。

  • 共感:1, 4, 8, 9, 10, 13
  • ネガティブ感情:7, 11, 12, 16, 17
  • 行動面での関わり合い:2, 3, 5, 6, 14, 15

ポストゲームモジュール

以下の各質問に対して、あなたがゲームをプレイしているときにどう感じたかを教えてください。

  1. 全く感じなかった
  2. 少し感じた
  3. まあまあ感じた
  4. とても感じた
  5. ものすごく感じた

各質問は以下の通りです。

  1. 生き返ったように感じた
  2. 気分が悪くなった
  3. 現実に戻るのが難しいと感じた
  4. 罪を犯したように感じた
  5. 勝利のようなものを感じた
  6. 時間の無駄だと感じた
  7. エネルギーが満ちたように感じた
  8. 満足した
  9. 意識がぼんやりした
  10. 疲れ切った
  11. もっと有益なことができたと感じた
  12. 自分が力強くなったように感じた
  13. もううんざりだと感じた
  14. 残念に思った
  15. 恥ずかしいと思った
  16. 自分のことを誇りに思った
  17. 長旅から戻ってきたような感覚を得た

ポストゲームモジュールは4つの要素によって構成されます。4つの要素はそれぞれ、以下の項目の平均値をスコアとします。

  • ポジティブ感情:1, 5, 7, 8, 12, 16
  • ネガティブ感情:2, 4, 6, 11, 14, 15
  • 疲労感:10, 13
  • 現実に戻ってきたような感覚:3, 9, 17

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